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エネルギー関数を用いたモデルマッチング

このときのモデルの状態は、単にモデルの制約条件と撮影条件とから定められ たものであり、画像の二値情報しか用いていない。そこで、画像の濃淡値を利 用するエネルギー関数を導入し、さらに詳細なモデルマッチングを行う。

本方法で用いるエネルギー関数は、Potential Energyである。すなわち、ここ でのエネルギーは、モデルの状態が一意に定まれば、求めることができる。座 標軸系にはXYZ直交座標軸を用いる。

ここでは部品の三次元位置を表す6次元ベクトルである。エネ ルギー関数は見かけ上138自由度を持つが、実際にはモデルの制約条件及び 撮影の制約条件によって拘束を受ける。

本方法では、モデルのエネルギーを、各部品についてのエネルギーの和と見な して求める。

 

ここで、は、他の部品に隠されていないとき1、隠されている 時0をとる。また、は、画像上のその点の廻りの 濃淡値分布の傾斜方向及びその大きさに比例して、部品に加わる力である。画 像上に投影された部品の輪郭線において、もとの円筒側面に相当する輪郭線分 (side line 図1)上でのの総和が、部品に加わる 力となる。

  
図 1: 力の加わる場所

手指画像の輪郭線より求められたモデルの状態を初期状態として、式 (2)から部品に加わる力を計算し、それをずつ移動させて モデルの状態を漸近更新していく。の大きさが、エネルギーの収束の早 さを決定する。このとき、手指モデルの制約条件や並行投影の条件に反するよ うな状態への更新は禁止される。モデルに対するエネルギーが収束すれば、そ のときのモデルの状態が、手指画像に対するマッチング結果である。

この方法では、エネルギー関数が最小となるようなモデルの状態が得られる保 証がない。しかし、輪郭を用いて予めモデルの状態を画像上の手指の状態に近 付けてあるので、エネルギー値が最小でなくとも、それに近い状態まで到達で きる。



Yoshinari Kameda
1997年04月03日 (木) 12時19分35秒 JST